環境省との交渉の争点

以下の6点について、当会の主張と環境省の主張の違いについて、ここから説明します。
   1.30年後に福島県外最終処分場へ確実に搬出すること
   2.原状回復と返還
   3.全域除染
   4.安全・安心への取り組み
   5.土地使用補償
   6.土地価格

1.30年後に福島県外最終処分場へ確実に搬出すること

 ○《当会主張》当会設立時から同じであり、歴代環境大臣へ要望書提出
   「国・環境省は一番難しい福島県外最終処分場選定への取り組みを
    先延ばしにせず、直ちに取り組むこと

   添付資料1
   2014(H26)年12月25日望月環境大臣・竹下復興大臣宛て提出要望書
   添付資料2 
   本要望書に対する翌年2月6日付け環境省・復興庁回答書

 ●《環境省主張》「第8回環境省による地権者会への説明会回答書
          (丁寧語等省略)」
   ⑴2016 年4月に「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」
    及び「工程表」を取りまとめた。
   この技術開発戦略は、
   ① 減容・再生利用を実施するための基盤技術の開発を 10 年程度
    (2024 年度)で完了する
  ② 減容技術等の活用により、再生利用量を可能な限り増やし、
    最終処分量の低減を図る
  ③ 再生利用の実現に向けて、安全・安心に対する全国民的な理解の醸成を
     図る
    現在は、減容処理技術の絞り込み等を行っており、その成果を踏まえ、
     2025 年度以降、最終処分の方向性を明確化した上で、最終処分地に係る
    調査検討・調整等を順次実施することとしている。
    (以上が、同回答書内容)

   ⑵2020年11月環境省調査結果、県外最終処分の国内認知度が低いことが判明、
   理解活動として本年5月23日対話フォーラムを開催。

  (注記1:中間貯蔵・環境安全事業株式会社法第3条は、「「完了する」でなく 
       「完了するために必要な措置を講ずる」である事が大問題) 

2.原状回復と返還

 ○《当会主張
 ⑴当初、環境省の土地使用契約書(地上権)は30年後返還しなくてもよいと取れる「建物使用目的」で
  あった。このことから当会は、「事業用定期借地権契約」を強く要求したが、
  合意に至らず、第20回目の団体交渉において、地上権設定契約書の約30項目の見直し(用地補償除く)
  及び当該登記内容の見直し(既契約者含む)の合意となった。現在の契約書は合意後の契約内容である。
  環境省は、地権者から要求があれば、合意前の同契約書及び登記の変更は行うことを明言しており、
  将来のリスク回避のため合意前の同契約書での締結及び登記をされた地権者の方々は現在も
  「建物使用目的」となっており、早期に変更されることが望ましい。

 ⑵仮置き場の原状回復で田へ山砂を搬入していることが大きな問題となっている。
  本事業では山砂を入れないことを要求中である。

   ➀本件について団体交渉で要求したところ、環境省から個人交渉で回答するとの説明である。
   ➁2021年4月門馬会長の個人交渉で申し入れたところ、現時点では分からない
    「約束できない」との回答であった。

 ●《環境省主張》
 ⑴「事業用定期借地権契約」は前例がないので出来ない。
  「(注)国が普通財産を貸し付ける際には事業用定期借地権契約で実施」
 ⑵山砂問題は地権者の個別事情の問題であり、団体交渉で受け付けるが、
  回答は当該地権者に説明する。
   
  『本件に対する個人交渉結果』
   (2021年4月20日門馬好春会長の個人交渉時の環境省回答)
  「門馬氏の所有地(田)は、西側に(環境省施設)実証フィールドがあり、
   今何かに使いたい、来年何かに使いたい、という土地ではない。
   この後どのように事業展開して行くかということが、今正直分からない。
   どのように使うか分からない前提で、土地の返地どうすると約束することは
   出来ない。そうでないと俺は使わせないと言われても答えのしようがないのが、
   私の今の話だ。」
   (注記1:団体交渉では個別の地権者に説明する。個人の交渉では分からない。
    これが環境省の実態・事実である。)
   (注記2:合意後の地上権設定契約書(返還並びに原状回復) 第12条
      乙 は、第3条に規定する地上権の存続期間が満了する日までに、土地に現に
      存する物件を撤去し、土地を原状に復したうえで、
      甲に返還する。
    2 前項の物件の撤去並びに土地の原状回復及び返還の方法や程度等に
      ついては、返還に際して、甲に、十分な検討時間を与えることに
      配慮した上で、事前に甲、乙協議して定めることができる。
    3 前項の協議が調わないときは、乙は、第1項の規定に基づき、
      土地を甲に返還する。

3.全域除染

    (注記:大熊町・双葉町も同じく国に何度も全域除染(両町白地地区)要望書を
        何度も提出済み)

 ○《当会主張
  2020年11月19日第8回環境省による当会への説明会等で繰り返し主張
  2045年3月12日迄の地権者への土地の返還時には
  「除染をしていない場所又は除染をしていないと同様手付かずの場所は」
  除染をして土地を返してほしい。

 ●《環境省主張》
  ⑴環境省長谷川総括調整官の、第8回の説明会当日の口頭回答
   初め「建物解体跡地等で除染作業未実施の土地はない」と説明し、
   作本副会長補足後、「田圃等で除染作業の手付かずの土地で放射能が高い土地の場合は、
   何もしないでそのまま放射能の高い土地で返すことはない」と回答。
  ⑵2020年12月18日付け環境省回答書内容(丁寧語等省略)
   土地に存する物件の撤去並びに土地の原状回復及び返還の方法や程度等は、
   契約頂いた地上権設定契約に基づき、返還に際して地権者の方と事前に協議のうえ
   決めさせて頂くことである。これまで通り契約頂いた地権者の方から問い合わせがあれば
   答えさせて頂く。
   (注記1:2.の注記と同様回答から逃げる姿勢が明確である。
    これが書面回答になると、逃げの姿勢がより明確になっている。)

4.安全・安心への取り組み

〇《当会主張
 ⑴当初より継続して環境省に申し入れている。
  第8回環境省説明会後も11月26日午前中常磐自動車道でも多くのトラックが確認された。
  中でも荷台後ろの記載「福島」営3000 から4000番台のトラックのスピードオーバー
  「法定速度80キロの処90キロ以上での走行」が多く無謀な運転が増えてきたと
  強く感じたので環境省に注意してほしいと帰還困難区域の住民から連絡が入ったので、
  改善を要求した。

 ⑵コロナの対策としてトラック運転席にも「アルコール消毒剤等」の運転席への常備を
  継続して要望している
が、 環境省回答はその予定はない。だが、感染者が増加している
  現状からも引き続き申し入れ中である。

●《環境省主張》同年12月18日環境省回答書内容(丁寧語等省略)
 ⑴輸送車両の運転手に対し、研修等を通じて走行ルールの指導を繰り返し行っている。
  また、中間貯蔵施設区域の内外で巡回を行い、巡回と共に、輸送車両のタコグラフのチェックも行い、
  速度超過 が確認された場合には、受注者を通じて当該運転手の走行状況の再確認や必要な指導を
  行っている。また、危険運転等のあった運転手の出発する仮置場等で安全教育の実施状況等の
  確認も行っている。 このような確認や指導、教育を繰り返し行うことで、危険運転は
  減少していると考えているが、中間貯蔵施設の区域内でも住民の方が使っている公道であり、
  今後も引き続き指導していく。
⑵ 新型コロナウイルスの感染対策として、政府の方針及び福島県の新型コロナウイルス
  感染拡大防止対策も踏まえ、受注者に対して、新しい生活様式の定着、具体的には
  ①マスクの着用、②手洗い等の手指 衛生、③人と人との距離の確保、④「3つの密」を
  徹底的に避ける事などを職員や作業員に指導するよう求めている。
  また、「建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を活用し、
  現場に即した新型コロナウイルス感染防止対策を行うよう指示している。
  こうした対策により、感染防止と共に、仮に感染者が発生した場合でもその影響を
  最小限に抑えることができるように努めていく。指摘のあった運転席(へ)の
  アルコール消毒(剤等常備)は、基本的に運転手は同じトラックを使う前提なので、
  新型コロナウイルス感染防止対策としての必要性は乏しいものと認識している。
  いずれにしても、政府の方針や福島県の新型コロナウイルス感染拡大防止対策等を踏まえ、
  今後も必要な対策を行っていく。
  (注記1:町民・地権者と環境省の回答にはかなりの温度差があり、町民・地権者の方々の
       「一時帰宅等」は、自衛手段として中間貯蔵施設への搬入がない日曜日等に
       行っているのが実情である。)

5 土地使用補償

A『公共事業における土地使用補償における日本のルールとは何か?
  それは以下の通り、憲法などに基づいた統一された国民にとって
  公平・公正な補償のことである。
  【憲法29条3項「正当な補償」=土地収用法71条「相当な価格」72条近傍等地代
   =要綱7条「正常な取引価格」19条「正常な地代」】

B《それを数字で表すと具体的にはどういうことか?
  ・憲法29条3項「正当な補償」 土地使用補償額「6円」 土地価格「100円
   「用対連基準細則11の地代算定方法の6%を6円と計上」
  ・土地収用法72条
   「その土地及び近傍類地の地代及び借賃」  「6円」 土地価格「100円
   「強行規定」
  ・要綱19条・用対連基準24条
   「正常な地代又は借賃補償」         「6円」 土地価格「100円
   「任意規定」

C《なぜ、すべてが同じく、土地使用補償額は6円で土地価格は100円なのか?
 それは、補償額が同じでなければ、公共事業のために土地を貸地又は売却で協力した
 土地所有者が代替地を求められないからであり、
 それが、補償項目と算定方法統一を図った公平・公正・適正な補償で、国民が納得できる
 客観性・一貫性・合理性のある理由である。

D《それでは、双方の主張は何が違うのか?

当会主張  要綱19条・用対連基準24条の適用補償
       「正常な地代又は借賃をもって補償する」
●環境省主張 環境省(事業主)の「考え方」での要綱19条・用対連基準24条に反する
       独自補償「地上権価格」
       地権者説明会後、環境省内規基準作成「空間又は地下使用条項に土地(地表)の
       長期使用補償を追加」

E《当会主張の根拠は何に基づいているのか?

1 憲法29条3項「正当な補償」を体現した土地収用法(強行規定)と要綱(任意規定)・用対連基準は
  整合性を図っている。
2 昭和37年3月答申、同年6月要綱閣議決定同時に要綱の施行が閣議了解され、
  同年10月用対連基準・翌年3月同細則決定後、旧建設省等の各事業主体において内規基準制定され
  補償項目、算定方法の統一が図られている。
3 要綱は裁判・収用委員会採決においても客観性・合理性が高く、要綱と同時にだされた
  閣議了解には「この要綱は収用委員会の裁決の場合においても基準となるものと認められる。」と
  している。また、裁判も要綱はその客観性・合理性から援用されている。
4 要綱・用対連基準制定後、土地収用法3条の対象事業の適用範囲は行政回答等を含めて
  より広くなり、より広く多くの公共事業等に一貫性・客観性・公平性のある内容を示しだしている。
5 要綱19条「土地(地表)の使用に係る補償」の「地代」は「要綱の解説」に「補償の根拠」を
  規定と明記されている。
6 用対連基準24条「要綱19条と同じ」の「地代」は「用対連基準の解説」に「地代の算定方法」を
  規定と明記されている。
7 同要綱・用対連基準に準じて制定の旧建設省(国交省)等内規基準や電源開発等基準の
  土地使用補償は「地代」である。
8 1-7を受けて全国の公共事業における土地(地表)使用補償は地代(=土地賃貸借料)の
  補償である。
9 要綱の適用を特殊事情により当面の間、その適用を見送っている米軍駐留軍事業においても、
  土地(地表)の使用補償は土地賃貸借契約を締結した「土地賃借料(地代)」である。
10 環境省は当初から要綱19条・用対連基準24条の土地(地表)使用補償は、   
  「短期使用のみ対象」と主張し、「長期使用には馴染まない(対象外)」としていたが、
  2017年9月6日付け環境省回答書で「長期使用も対象と認めて訂正」した。

11 環境省が要綱19条等は長期使用も対象と訂正したことで、2014年12月26日制定
  「環境省内規基準第25条空間又は地下使用条項」に「土地(地表)の長期使用に係る補償」を
  加えたが、環境省だけの独自主張の根拠さえなくなったことを示した結果になった。
12 しかも、この2017年環境省回答書で「要綱の解説で地代は補償の根拠」と
  明記されているが、「地代は考え方と改ざん」し、2021年の現在も要綱19条条文に
  書かれている「地代補償」でなく「環境省の考え方」で中間貯蔵施設の土地使用補償は
  「地上権価格」であり、これは適正補償な補償と繰り返し、要綱19条・用対連基準24条に
  反する独自の考え方を継続して主張している。
13 さらに、この2017年の環境省回答書に対して、2020年9月14日付で当地権者会が
  環境省に提出した「補償基準の適用についての本会の見解」について、環境省は
  「(本文の)従って、・・・要綱第20条は適用できない」以外について「その通り」と
  認めている。だが、「環境省回答書も間違ってはいない」との主張は、客観性・公平性・合理性も
  ないうえに、補償項目と算定方法の統一に反した環境省の独自考え方である。

14 要綱19条・用対連基準24条の地代累計額は、一定の期間の使用で土地価格を超えることを
  許容し予想している。
  用対連基準・同細則11の地代算定標準「宅地・農地は土地価格の年6%」の場合、
  17年で、102%となり土地価格を超える。
  土地の長期使用は通常20年以上「環境省と確認済み」とされており、6%で20年の
  地代累計額は120%になる。
なお、団体交渉において環境省もこの条文の解釈は「当会の解釈」を「その通り」と認めている。

添付資料3.土地の地表補償と空間・地下補償の比較図 
添付資料4.「地上権価格は地権者の権利を制限・侵害している補償」

15 この一定の期間の使用で本体(土地)価格を超えるという考え方は市場経済でもリース事業でも
  当然且つ普通であり、マンションの賃貸により一定の期間の利用でマンション価格を超えることと
  同じである。
  また、一般の土地使用取引「地代」についても普通にあり、全国の公共事業の土地使用地代事例でも
  超えているのは普通にある。
16 しかし、環境省は、中間貯蔵施設事業は30年間の長期事業であり、特殊性があり、
  他の事業と違うのでので、専門家である不動鑑定士の判断を受けた総合的な判断で
  地上権価格としたのであり、適正な補償であるので、地代補償は出来ないと主張している。
17 この環境省の独自の考え方は、事業が違うものを統一した補償「土地収用法・要綱等」で
  公正で公平な補償「公共事業補償の大原則」からまったく外れ反している考え方である。
18 土地収用法3条27号の2には4事業「仮置き場・仮設焼却場・フクシマエコテッククリーンセンター・
  中間貯蔵施設」があり、全て環境省が事業主体であるが、
  他の3つは要綱19条「地代」・用対連基準24条「地代」と同じく、2012年5月2日に
  環境省内規基準「地代」を制定し、それぞれすべてに地代「=土地賃貸借料」補償としている。

19 この仮置き場等の田の地代累計額は4年半85万円となり、中間貯蔵施設の30年間地上権価格84万円を
  超えた不公平な補償となっている。また、仮置き場の田の地代累計額では6年半123万円で、
  中間貯蔵施設の土地価格120万円(原発事故前の50%)を超え、環境省の地代累計額は
  土地使用補償を超えられないとの主張内容と反する自己矛盾「自己崩壊の内容となる。
  添付資料5.仮置き場等との比較表

20 さらに、地代補償は土地価格を超えられないとした環境省の考え方は現在価値割引率での
  計算「6%と環境省の割引率6.5%」では83%となり、土地価格を超えてはいないので、
  地代累計額が土地価格を超えるので中間貯蔵施設事業では地代にできないと主張していることとは
  環境省の「自己矛盾」の内容となっている。

21 以上の通り結論は要綱19条、用対連基準24条の土地(地表)の使用補償「地代補償」を
  適用すべきである。

  地代の算定は複数の不動産鑑定士により要綱19条・用対連基準24条・同細則11による
  地代評価額により決定するべきである。
  添付資料6.補償基準の適用についての本会の見解(2020年9月14日環境省に提出)
  添付資料7.一般財団法人日本不動産研究所について

《環境省主張》  環境省の「考え方」で要綱19条・用対連基準24条に書いていない、反する独自の補償「地上権価格」

●地権者説明会後、環境省内規基準作成「空間又は地下使用条項に土地(地表)の長期使用補償を追加」

F《環境省の地上権価格の根拠とその主張理由は何に基づいているのか?

1 土地(地表)使用の要綱19条・用対連基準24条と空間又は地下使用の要綱20条・用対連基準25条を
  総合的に判断した。
2 要綱19条・用対連基準24条は短期事業のみが対象であるので、最長30年間の中間貯蔵施設の
  長期事業には馴染まない。
  「平成29年9月6日回答省で当地権者会要求を受け国交省に確認し、その指導を受け間違いを認め、
  長期も対象と訂正した。
3 2014年12月環境省が制定した中間貯蔵施設の内規基準空間又は地下使用の25条に土地(地表)の
  長期使用補償を定めた。
4 中間貯蔵施設事業は特殊性があり、土地収用法3条などの他の事業とは事業が違うので
  比較できない、するものではない。
  仮置き場、仮設焼却場、トミオカエコテッククリーンセンターも同じで中間貯蔵施設事業と
  比較できない、するものではない。
5 土地(地表)使用の要綱19条・用対連基準24条の地代累計額は土地価格を超えることが
  できない。
  「団体交渉では認めて個人交渉では認めていない」
  (注記:地上権価格が超えられないと地代累計が超えられないと時々混在している)
  ➀超えると憲法29条3項の正当な補償でなく過補償になる
  ➁小高剛大阪市立大学名誉教授の「用地買収と補償第4版」を引用
6 地代補償で地代の累計額が土地価格を超えた場合、土地を売却した人との補償額を超えるので、
  その方々と不公平な補償になる。
7 日本の教科書である要綱の解説の要綱19条の趣旨の地代は「補償の根拠」と
  2017年9月環境省回答書の用対連基準24条の地代は「補償の考え方」は分かりやすいように
  記載したものであり、「補償の根拠」と同じ趣旨である。
  「根拠と考え方は同じ」である。
8 要綱は昭和37年に閣議決定されており、閣議決定には従う。しかし、要綱19条の条項は
  地代補償が記載されているが中間貯蔵施設の土地使用補償は地上権価格が適正補償である。
9 環境省に地上権の決裁書類は無いが地権者説明会資料「日本不動産研究所作成」及び
  内規基準制定の事後決裁書類はありで問題ない。
10 地上権価格は地権者の権利を制限・侵害したことを認めたが、地上権価格は適正な補償である。
  (注記:地代累計額は一定の期間の使用で土地価格を超えるが、これを超えてはいけないと
  していることを指す。「2重の侵害」)
11 環境省が決定した土地の使用の権利設定が地上権であり、土地の使用補償が地上権価格なので
  適正な補償である。

12従って、地上権価格は環境省としての決定事項であり変更することはない。
別添資料8.『環境省回答書』(注記:色付け等は当会が実施)
       2017年9月6日付本会に提出 

6 土地価格《双方の主張は何が違うのか?》

○《当会主張》 
 1 土地価格は原発事故前の土地価格半分の「50%」でなく「100%」であり、県の交付金
   「見舞金50%」で補填すべきでない。
   原発事故後、地代「貸借料」は下落変更していないので、仮置き場等の地代は取引価格事例、
   積算賃料の土地価格共に原発事故前の価格で、算定している。
   結果、田圃千㎡の年間地代は18,9千円(6%で還元した土地価格は315万円)である。
 2 環境省は直轄仮置き場のエリアの11市町村を同一需給圏として、同一価格としている。
 3 中間貯蔵施設事業と同じく大型公共事業である常磐自動車道路の土地買収価格を取引事例として
   採用すべきである。
 4 土地価格の鑑定評価は、地代鑑定評価と同様複数の不動産鑑定士の鑑定結果で、
   セカンドオピニオンのある決定をすべきである。
 5 事業期間中は毎年不動産鑑定評価書を取得し、専門家を交えた価格審査委員会等で、
   継続して妥当性の検証を行うべきである。

●《環境省主張》 
 1 原発事故格差修正率により土地価格は原発事故前の半分「50%」とした。
 2 仮置き場の土地価格は短期を想定した価格であり、割高の地代「借賃」価格になる。
 3 常磐自動車道の買収価格は平成13年と古すぎて使えない。環境省は内規基準でも
   2年以内の取引事例を採用と定めている。
 4 地上権価格の算定では30年後「2045年」の土地価格を「100%」として想定し、
   地上権価格を土地価格の70%(宅地・田)とした。
 5 セカンドオピニオンは環境省がしっかり行っているので、その必要はない。